撮影機材
PENTAX K10D と私
PENTAX K10D を購入したのは3週間ほど前です。
それから今日にいたるまで、外出する際は K10D を常に持ち歩いています。これほどまでに常に傍らに置いているのは、良い写真を吐き出してくれるからに他なりません。私の望みの写真を出力してくれるとは思いもしませんでした。
K10D は2006年製の一眼レフカメラであり、特徴的な点はCCDセンサーを搭載していることでしょう。
現在主流のカメラにはCMOSセンサーが搭載されており、市場シェアにCCDセンサーはその姿をほとんど見せません。かつてはCCDセンサーが一世を風靡していた時期があったのですが、消費電力の問題や、高感度耐性の弱さに起因してそのシェアを徐々に減らしていきました。
電力効率が良く、高感度耐性の高いCMOSセンサーはCCDセンサー主流の時代には、偽色などの問題があったのですがそれらの問題はおおむね解決され、克服していると言えるでしょう。
写真家でCCDセンサーを好んで使用している人でも、仕事ではCMOSセンサーを搭載しているカメラを使用しています。カメラは年々進化を遂げており、古いカメラをわざわざ使い続ける理由は弱いでしょう。新しいカメラを使うことの利点は非常に大きいです。
シャッターチャンスを逃さず、決定的な瞬間を写真に収める。美麗な写真がデータとして残る。
後処理をして、いくらでも手を加えられる。私は高性能なカメラに求められている根本は、ノイズが少なく、デティールが保たれていること写真を撮影できることだと思います。
私にもそのような写真を撮りたい気持ちがあります。しかし、リアルそのままを撮影することが如何につまらないか知っています。写真機越しに味付けをした写真だからこそ、撮影するかいがあるのです。
その味付けは人の好みです。押し付けるものではありません。私の目と感受性は PENTAX K10D というカメラによる味付けのされた写真をおいしいと捉えたのです。
常に傍らに置きたいカメラで出先の景色を切り取ることは、何よりも私の好みを表せる手段として最適でした。
今回はその K10D と共に「JR鳩ノ巣駅」に訪れ、初冬の山景色を見ていこうと思います。
JR青梅駅を経由しJR鳩ノ巣駅へ
JR鳩ノ巣駅は東京都西多摩郡奥多摩町に位置する、小さな無人駅です。駅名にある「鳩ノ巣」は、周囲の自然豊かな渓谷に由来しています。この駅を降り立つと、都会の喧騒から一歩離れた、静寂と清らかな空気に包まれる感覚が味わえます。
鳩ノ巣駅からは、多くのハイキングコースや自然散策のルートが整備されており、登山や川遊びを楽しむ人々で賑わいます。
今回の目的は、この地の冬の風景を、私の相棒であるPENTAX K10Dで撮影することです。駅周辺には古き良き日本の風情が漂う景色が広がり、カメラを手にしたくなる瞬間がいたるところに点在しています。
駅の周辺から様々なスポットにアクセスをすることができます。
私は今回、「本仁田山・川乗山登山口」からハイキングを開始し、山ノ神の祠である「大根山の神」を目指すことにしました。
長い、とても長い、道のりの始まりでした。
K10D と共に登山道入り口へ
山を眺めながら登ります。
鳩ノ巣駅の周辺は完全に山で囲まれており、太陽が姿を現す時間は都内よりも短いでしょう。
近くに多摩川があるものの、見るべきものはどこを見ても現れる山と言う自然になるでしょう。
鳩ノ巣駅の北側に位置する山に登ろうとしているのですが、その途中に住宅街を通することになります。
人の気配はあまりありません。
すれ違うのは私と同じように山登りのために訪れた人達です。
そろそろ紅葉が終わる時期に差し掛かっていることもあり、葉が真っ赤に染まっています。
時々登山口を目指しながら後ろを振り返ってみると、同じ高さに山がそびえているのです。
澄んだ空気とこの偉大な景色は、都会住の私には贅沢品のように感じます。
後ろを振り返る元気があるのはここまでで。
良い日差しも山道に入ってしまえばあまり差し込まなくなります。
土と整備された木の階段を眺めながらの登山が始まります。
K10D が魅せる登山道
陰影が美しいです。
やはりCCDセンサーでの撮影は、白飛びを怖がってシャドウ部を濃くするくらいが丁度良いです。
冬ではあるものの大量の発汗に見舞われたため、しっかりと水分補給を行いながら上を目指します。
大根山の神が佇まう、祠に到着しました。大体30分ほどの登山でした。
汗が止めどなく滴り、首回りはびっしょりに濡れ、お漏らしでもしてしまったかのように服が濃くなっていました。これが夏ならば、考えることが恐ろしいことになっていたことでしょう。本格的に冬の最中であれば逆に汗がすぐに冷えてしまうので、防寒具を大量に装備した荷重な状態で登りづらかったと考えると、今の季節の登山は最適だったと言えます。
祠の近くに立ち、しばらく風の音や林の擦れる音を聞いていると、自分が自然の一部であることを感じます。都会で感じる時間の流れとは全く異なり、静かで落ち着いた気持ちになれる場所です。
ここで一息つきながら、K10Dを手に祠を撮影しました。CCDセンサー特有の深い陰影と鮮やかな色再現が、祠の古風な佇まいを見事に引き立ててくれます。山の緑や空の青さと調和した写真は、心に響く一枚となりました。
下山は舗装された道で
祠近くは開けており、そこから別の登山道などに繋がっているのですが、その中で一本アスファルトで舗装された道が一つあります。
登山道よりも長い距離を歩くことになるものの、大分楽に降りることができるので、今回はこちらの道を利用して下山することにしました。
「鳩ノ巣駅」に訪れ、30分ほどで目的地に到着する登山道は登山をしたことがない人にもお勧めできるポイントです。
私が眼で見た時の感動を再現できたと思います。
ススキのきらめき、山肌から染み出る清水、人に手を伸ばすように垂れた蔦、楽しくて仕方ありません。
こういう道は蜘蛛の巣がやたら張っているのですが、それがほぼなかったのが幸いでした。
きれいです。青と赤のコントラストのコントラストが自然に存在していることに美しさを覚えます。
また人工物が存在したとしても、都会とはその占める面積が逆です。コンクリートとアスファルトに囲まれた植物ではなく、植物に覆われた無機物。
つまらないわけがないでしょう。
基本、木が美しい。
単調でなく、特徴的。人のように種々の面を無数に表しています。
歪曲しても伸び続ける様を見ると、どこまで伸びていくのか、何処までも伸びていってほしい気持ちが湧いてしまいます。
下っているときの方が楽しく撮影できます。
これも都会人であるがでしょう。足元がアスファルトと言うだけでこんなにも安心するものなのかと、しみじみと感じ入ってしまいます。
シャッターが捗って仕方がない。
そして下山完了。
駅に帰ってきました。
旅のまとめ
今回の旅を振り返ると、PENTAX K10Dを手に、自然豊かな鳩ノ巣駅周辺の風景を切り取ることができた喜びで満たされています。CCDセンサーならではの味わい深い写真表現が、山の緑、祠の荘厳さ、そして渓谷の静寂を余すことなく記録してくれました。
鳩ノ巣駅は、都会から比較的近い距離でありながら、驚くほどの静けさと豊かな自然を満喫できる場所です。駅から徒歩圏内で訪れることができるスポットが多く、初心者から上級者まで、それぞれのペースで楽しむことができるのも魅力的でした。
また、K10Dのようなクラシックなカメラを持つことで、旅そのものの楽しみがより深まったように感じます。最新のカメラが便利で高性能である一方、K10Dのようなカメラが持つ個性と、撮影体験そのものの特別さは、代えがたいものです。
いつか、今回訪れることができなかった鳩ノ巣駅周辺の他のコースや、さらなる奥多摩の秘境を目指したいと思います。もちろん、相棒のK10Dはこれからも私の旅を記録し続けてくれることでしょう。
K10Dで撮影した一枚一枚の写真が、この旅の思い出を何倍にも豊かなものにしてくれました。鳩ノ巣駅の自然があなたにも素晴らしいインスピレーションを与えてくれることを願っています。
コメント