はいどぉもこんばんは
バーに行ってテンションが高いままに記事を書いているCanChanです
きも
やめろ絡んでくるな、葉をむしるな”!!
やめろ!!!!
やっていきますわよ!!
徒然酒場とは
徒然酒場とは何なのか——
だるさの抜けきらない中、終わりの見えない労働に追われるサラリーマンが一人、やっとのことで本日の業務報告を終わらせた。席の空いたバスに乗り、電車に乗り継いで、自宅の最寄り駅についた頃にはシャッターの閉まる音がする。
「今日もかえるか……」
ピークなどとうに過ぎた商店街の残された光でさえ、男にとってまぶしい以外の他なかった。
やがていつもの帰路についた。帰る時間にはコンビニとパチンコ屋、そして飲み屋しか開いていないためコンビニ弁当を買うためには自宅まで少し遠回りの道を通わなければならない。
しかしすこし歩いたところで、コンビニを目指すのをやめた。
男は今日判明した後輩が起こした不祥事によって、育成担当である男は上司から酷く怒鳴られることになった。いつもであれば頭を下げて嵐が過ぎるのをやり過ごせば済んだ話である。今日に限って大目玉を頂戴したのは、勤める部署の進退に関わる内容であったため、上司の出世を遅らせる要因となったからだ。
業務報告もろくに内容がないまま、残業組に見送られた。流石の同僚たちもいたたまれない気持ちだったのか、今日は早く退社するように背中を押してくれた。
ただし、いつもよりも早く退社できたところでものの1時間程度しか普段と変わらない。
1時間では好みの映画1本分にも満たない。だからそれに気づいたときには重い足取りがさらに鈍重になり、普段の帰宅時間にあわせようと勝手に帰り道が変わっていた。
男は駅周辺を周回するように歩いていた。
酒を片手に広げられる人々の喧騒は、どうも好かない。
おまけに酒が苦手だった。飲み屋に視線が引かれることはない。まっすぐアスファルトを見つめていた。
しかしふと、あたりを見回した。
何故か懐かしい音がする。そして匂いが鼻孔いっぱいに充満する。
意図して、見向きもしてこなかったそちらに近づいた。何の変哲もない深い青の暖簾、それから少々年季の入ったすりガラスの引き戸。入ったことはないはずだが、一も二もなく頭を空っぽにして扉を開けた。
「いらっしゃいませー!」
はつらつな声に男は思わず肩をすくめた。店員が盆を脇に挟んで男に駆け寄ってくる。男は残された元気を振り絞って瞬時に恰好を切り替えて、堂に入った風に店員と応対した。
「1名様でよろしいでしょうか?」
「はい、そうです」
店員が一遍席を見渡す。すぐに向き直って男に聞く。
「あっ、テーブル席でも大丈夫ですか?」
「大丈夫です。お願いします」
そうすると、店員は一名様入りますと店の奥まで響く声をかけると呼応するように奥から野太い声のやまびこが聞こえた。男は歓待を受けながら店が増築された跡がよくわかる一番奥の座敷席に案内された。
流れるように『おしぼり』を受け取り、小さく会釈をした後、溜まっていた大きなため息を吐く。
運ばれてきたお通しの『枝豆を』一つつまむ。二つ目に手を伸ばしたところで、おしぼりを渡されると同時に注文した『ジョッキビール』が運ばれてくる。掛け声も何もないのに『持ちて』がしっかりフィットするように受け渡しができる店員は、やはり修練の賜物かと自身でさえ面白くないことを考える。しょうがないことに苦笑いを浮かべてから、一気にのどを潤した。あふれ出る爽快感にため息とは異なる息が露出する。枝豆を含み、しっかりと噛みしめて、二口目で流し込んだ。
男は酒があまり得意ではないと自負しているものの、ビールへの思い入れは人一倍あった。
これに救われたことが何度あることか、思い返そうとしても今日の一口目に思考が流される。こうして男は社会を生き抜いてきたからだった。
三口目に行こうとテーブルからジョッキを浮かそうとしたところで、手が止まる。壁に何枚もある色褪せた木製の品書きの、入り口に一番近いところ。煙草を燻らせていた客で隠れていたが、客がトイレに行ったのか、店に入って初めてその板を目にした。
年季の入っているはずの飲み屋のなかで、一番場違いなものを見つけてしまった。男は一つ述べる。
「なんだそれ」
「ですよね~」
「うわっ」
いつの間にか隣にいた店員が同意を示す。
「あれ、このお店の先代のおじちゃんが、『目新しさが足りない』なんて言って慣れない言葉を使って作った看板なんですよ」
店員は笑顔で続けて言う。
「お客さん、今日来てくれた人たちの中で一番疲れて見えます」
「そうですか?」
「そうです。ですからあの言葉に従って喋っちゃいませんか、いろいろあったこと。こう見えてわたし、聴き上手なんですよ。お店も空いてきたみたいだし、ここは5代目店主の私が相手になりましょう!」
店員かと思っていたら店主だった目の前の女性がさぁどうですと迫ってくるもので、男は否が応でも一人呑みを打ち切らざるを得なかった。
店主は前のオーダーを片付けるように小走りでビールサーバーへ向かう。
「ちょっと待っててくださいね片付けてきますから。今日はここ『徒然酒場』を楽しんでってくださいね!」
・・・詰まるところ、
何にしても嫌なこと、良いことをすべて自分の中にため込んでしまっては、いつかその反動でおかしくなってしまう。だから、せめて仲間内で打ち明けて「面白かった思い出」に成就してしまおうってわけです。
皆に言えないこと、きっとあると思います。
それはそのままでもいいんです。
お酒の場で、昼間の自分よりちょっとだけ口が緩んでしまい、思わず口端からこぼれた程度のものが望ましいのであって、ここで必死になる必要はありません。
楽になる方向に進みたいものです。
この場を設けたのは、『Taromi』の記事から「いいアイデアだ!」と、「びびっときたぁぁぁぁぁぁぁ!!」からです。
【第一回】カルヴァドスって、個体名じゃなかったんだ……
本日の議題ーーカルヴァドスについて
カルヴァドス(calvados)
フランスのノルマンディー地方でつくられている、りんご・洋なしを原材料としたブランデーの一種。ノルマンディー地方でつくられているものしか『カルヴァドス』と名乗ることはできない。
ちなみに、日本酒とかシャンパンも同様に、日本でつくられなければ日本酒じゃないし、シャンパーニュ地方じゃないとシャンパンじゃないらしい。まるで血統重視のお貴族様みたい。
本日の参加者ーー1名
バーから帰ってきた私です
かんぱーい!!
ここに打ち明けます。わたし、知らなかったんです。
どくん、どくん(心臓の鳴る音)
ばくばくばくばく(心臓の鳴る音)
カルヴァドスって、カルヴァドスっていう個体名のお酒じゃなくて、ウイスキーの中のバーボンとか、スコッチとかと同じような大きなくくりの中の小さなくくりの名前だったんだ……。
びっくりした。
カルヴァドス蒸留所ってところがあるとして、そこで作っているリンゴのお酒かとおもってた……。
お酒は深い。
終
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