撮影機材
マウントアダプタ―を使用することのメリット
おぉ、ミカンがなっている。
色鮮やかだが、どこか萎んでいるようにも見える。
今日の私の財布もこうなる運命なのだ。
今日は弟にご飯を奢る日。好きなものを好きなだけ食べさせてあげる、家族サービスならぬ、弟サービスデーだ。
道中の駅でひび割れたコンクリートを見つけて思わず接写。
このひび割れですら愛おしい。
見るべきものはただ一つ。ボケとヒビの調和は私の満足を越えて、印刷後写真立てにセットされて記事を書く私のインスピレーションを掻き立ててくれています。
この興奮は欲しいものが届いた幼児のそれと大差ありません。本日より新たな機材を導入することにしたのです。その名は、「マウントアダプタ―」。
撮影機材として持ち出したのは、X-E2 + Super Takumar 55mm F1.8 後期型です。さてマウントを考えてみるとXマウントボディとM42マウントレンズになるので、相互の互換性を保つためのマウントアダプターの仕様が必須となります。
無骨な金属製ながらもがらも安く、ヘリコイド付きのSHOTEN マウントアダプター M42-FX Mを購入することにしました。
「薄型軽量が売りのミラーレスカメラの強みを帳消しにする」。「分厚すぎるマウントアダプターを介してまででオールドレンズを使用する」。
今までこの行為に対して、どちらかと言えば否定的な立場をとっていました。
しかしながら、以上のようなオールドレンズらしからぬ接写を実現できることに気が付いてしまったのです。ヘリコイド付きのマウントアダプタ―は素晴らしい商品です。
オールドレンズあるあるの一つにあげられる特徴の一つ、「最短撮影距離が長い」ことは有名でしょう。すべてのレンズに当てはまることはありませんが、ほとんどのレンズが同じ特徴を有しています。長いものであれば1m以上は離れなければピントを合わせられない、なんてこともざらにあります。
とはいえ、Super Takumar 55mm F1.8 は 55mm という焦点距離に対して 45cm となかなか良い接写性能を持っていると言えます。私はこの性能に対して、風景をメインに撮影するのでそこまで接写することもないだろうし、「これくらいが丁度良いだろう」と満足していた……つもりでした。
しかしいざTakumarを使用して撮影していると、なかなか接写するシーンが多いなと私自身の撮影スタイルへの自覚を改めさせられることになります。
そこで手にしたのが、ヘリコイド付きの M42→X マウントアダプター です。
みょ~んと伸びます。繰り出し量は約25mm。
購入してからすぐさま使用してみると、楽しくて楽しくて、世界が自分の方に近づいてきた気分で満ち溢れます。
いつだかの記事で、「寄って撮れ」と自分で言っていたと思います。こう言っておいて、寄らなくても良いとか、昨日までの私は言い訳していました。寄る努力をしなさいよ、過去の私。言い訳していたことが恥ずかしい。未来の私は「寄って撮れ」の精神を分からされています。
こんなにも不便なく撮影ができることに、感動しました。人っていうのはこうやって一つ一つの不便を解消していって、完璧を求めてくものだとまざまざとその一端に触れられた、のではないでしょうか。
言い訳完了
さて、オールドレンズをミラーレスカメラで使用する際に、極厚マウントアダプタ―を使用することへの言い訳を完了させました。
これで心置きなく、Super Takumar を X-E2 に取り付けて思う存分、心置きなく、憂いなく撮影することができるようになりました。
実際にこの描写が大好きなんですよね。Olympusカメラにとりつけてみたり、Canonカメラに取り付けてみたり、Sonyカメラに取り付けてみたり、Pentaxカメラに取り付けてみたりしました。
かつてのフィルムの描写をフィルムシミュレーションと言うデジタルの設定で残しているFujifilmカメラ。とうとう Takumar と Fujifilm を組み合わせて使用する機会が訪れたのです。
X-E2の設定値は以下です。
- 感度:800~6400
- ダイナミックレンジ:400
- フィルムシミュレーション:Pro Nega. Std
- ホワイトバランス:蛍光灯1 R:-4 B:+7
- カラー:+2
- シャープネス:+2
- ハイライトトーン:-1
- シャドウトーン:+2
- ノイズリダクション:-2
この設定は FUJI X WEEKLY の Fujichrome Slide というフィルムを再現したレシピを拝借しました。
コントラストが強めで写真全体に引き締まった印象があります。それでいて、カリカリといった表現ではなく、ノスタルジックでフィルムライクな温かみのある雰囲気を再現できます。
そのようなレシピで Super Takumar の描写を味わってみたところ、やはり相性がいいと言わざるを得ません。
結論として、Takumarが好きだということを再確認できました。フレアがたっぷりと入り、カリカリ過ぎずぽわぽわ過ぎず使いやすいオールドレンズというゆるぎない立ち場は、どのようなカメラで使用したとしても確固たるものなのでしょう。
何より安い。量産してくれてありがとうございます。
これで私は安心してがっつり使い古すことができます。
帰り道の弟を激写。
まとめ
マウントアダプターを使用して、レンズ本来のコンパクトさが失われることを忌避している人へ。
一旦、使用してみませんか。ヘリコイド付きマウントアダプタ―。
食わず嫌いはカメラにも言えるようです。
あなたのオールドレンズで実現しえなかった距離感での撮影が可能になります。カフェ巡りの最中に席を立たずに思い通りの配置をフレーム内に収められるかもしれません。
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