癖になってんだ。
ども。俺はしがない人間、Taromi。
ネタがなくなり金曜日の原稿を落とした俺は、死後の世界に来ちまったらしい。
「Taromi。あなたは異世界に行くのです。」
女神が俺に語りかける。
「なぜに?」
「理由とか聞かないでください。
そんなこと考える脳があれば
今頃べつの記事書いてますよ」
「それもそうか」
そんなわけで俺はチート能力を手にして
異世界に来たってわけ。
ちなみに能力名は【 】。
名前考えるのダルいから
空白にするという手抜きっぷりだ。
とはいっても【 】ってだけじゃ
なんの能力かわからねえし、
取りあえず近くにある岩にでも使ってみるか。
「唸れっ。【 】っ!!!!」
俺はとたんに【岩】に対してなんの興味もなくなってしまった。なるほど。どうやらこの能力は対象物への興味を無くしてしまう能力らしい。
「これのどこがチート能力なんだよ」
俺はボソッとそうつぶやくと、息をするように【金曜日】【記事】【ネタ】に能力を放った。
そうしてそれらに関するすべての興味を無くした後で、今後の身の振り方を考えることにした。
―――――
犬とハサミは使いようってことで
俺の能力にも使い道はあった。
能力で【痛み】や【恐怖】に興味を無くした俺は、鬼神の如き立ち回りでたちまち敵を蹂躙。体の4分の3は移植体になってしまったが、おかげで騎士の中でも上の位ってわけよ。
明くる日、俺は騎士団詰所の周りを散策していると一人の凛々しい顔立ちをした女性に出会った。魔物に襲われているところを助けたのだ。
「すまない。迷惑をかけたな。」
「なあに。こうしてキミを助けれて、騎士冥利に尽きるってもんよ」
「いや、施しを受けたままでは私の仁義に反する。謝礼に料理でも振る舞わせてはいただけないか」
やれやれ。それが目的で助けたわけではないのだが、彼女の厚意を無碍にするわけにもいかないな。
「そういうことなら喜んで受けよう。俺の名前はTaromi。君は?」
「ああ。私の名は【フライデー】だ。」
「すまない。帰ってくれないか?」
俺は途端に彼女への興味を失ってしまった。返事も聞かず私からその場を離れると、そのまま詰所へと踵を返した。
帰りの道中、なにも悲しいことはないはずなのに、目からは大粒の涙が溢れ出した。
完
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