撮影機材
友人と集合する前
快晴。
家を出るとすぐに、冬特有の乾いた空気と冷気が喉に染みた。それなのに、どこか安心する。
わくわくとドキドキは、いくつになっても人間の強い原動力だ。
その勢いに突き動かされ、集合時間の2時間以上も前に家を出てしまった。
この日は、この一枚の写真から始まった。
普段は避ける白飛びを、あえて意識的に作り出してみる。本来なら、白飛びは空の青を台無しにしてしまう。しかし、この日は状況が違った。
主題が明確であり、さらに「お出かけ」という高揚感が相乗効果を生んだのだと思う。白く明るい写真が、思いのほか心地よく感じられた。
この時のカメラ設定は、彩度は高め、コントラストはほどほど。そしてブルー寄りのホワイトバランス。露出も高めに設定し、この日はこのまま撮り続けると決めた。
さすがに2時間待つのは厳しい。近くのドトールで時間を潰すことにした。
一人でカフェに入るときは、なるべくエスプレッソを頼むことにしている。普段飲まないからこそ、特別な一杯になる。
舌に残る強い苦味。それが、波が引くようにゆっくりと落ち着いていく感覚をじっくり楽しんだ。
そして時間を潰した後、駅へ向かう。
最近気がついたのだが、ただの電車を撮影している人は意外と多い。
小学生くらいの兄弟がm4/3機で撮影していたり、中年の男性がNIKONの一眼レフを構え続けていたり。見ているだけでもバリエーション豊かだ。
私も負けじと構内を散策。ワクワクは天井知らずである。
池袋駅に到着 空腹は頂点へ
何事もなく池袋駅に到着。
友人は朝ごはんを食べていなかったらしく、駅構内で何か食べるかと尋ねると、大いに乗り気だった。
空腹は敵。これを退治するために歩いていると、どこからか出汁の香りが漂ってきた。
即決だった。
鴨肉をトッピングした温かい蕎麦。
一口すすり、丼ごと汁を飲む動作を繰り返す。半分ほど減ったところで、ふと気がついた。
「ずっと食べたいと思っていた蕎麦だった」
ここ半年くらい、食べたかったものが、ようやく目の前にある。
出汁の効いた温かい蕎麦を、空腹の友人とともに流れるように食べる。この状況、完璧だった。
西口から出る 靴ひもを結ぶ
池袋駅という地下迷宮から地上へ出るルートは複雑で、少し迷った。
スムーズに出られる人は、相当遊び慣れているのだろう。
地下道を抜け、視界が開けた瞬間、立ち眩むような感覚に襲われた。
人、人、人。
東京で「人を見るための街」を挙げるなら、新宿、池袋、秋葉原。
池袋は、何となく年齢層が高い気がする。アラサーくらいが多い印象だ。
皆、何しに来たんだろう。
スクランブル交差点は、無秩序に行き交う人々を撮るのに最適なスポット。カメラを掲げ、シャッターを切る。
多分、みんなカフェに行くんだと思う。
白いスニーカーが、昼を象徴する主題として成立することを学んだ。
かっこいい写真が撮れたのは、カメラを向けた瞬間、友人がわずかに動きを止めてくれたおかげだ。深い感謝。
目的地へ向かう 肘を伸ばす
やはり、門のような構造物はローアングルが良い。
高さを強調できるし、地面を圧縮することで主題を際立たせやすい。
そして、ビルの間からも空は見える。その構図が、まるで何かのメッセージを投げかけているような気がした。
気づいたことがある。カラオケと素人女性のガールズバーの看板が異常に多い。
カラオケは男女問わず需要があるが、ガールズバーが多いのは、池袋を訪れる男性の年齢層が高いからだろうか。
後になって聞いた話では、池袋は治安が悪かった時期があり、暴力団の資金源としてそうした商売が栄えたのではないか、とのことだった。
さて、目的地は「ダーツスタジアム」。
私は友人と遊ぶためここに来たのです。
私は、友人兼ライバルと遊ぶため、そして戦うためにここに来た。
圧倒的に力量差があるのだけれどね。私がボコボコにされるという意味で。
美少女に出会う カップを交わす
いいですよね。いや、駄目ですけど。
こうした積み重ねの先に、アートが生まれるのだと思う。
魑魅魍魎が情報量を抑えることで、むしろ見たいものが浮かび上がる。
あの絵を誰が貼ったのかは分からない。ただ、このゴミ箱が「美少女の入るゴミ箱」であることだけは理解した。
この写真を収めてから、気になっていたカフェへ向かった。
ビルの2階にある、少し古くて、少しリッチな雰囲気のカフェ。
入口の階段からすでに雰囲気が良い。
店内は満席。
男女、女女、男男。あらゆる組み合わせと年齢層の人々が、思い思いに過ごしている。
池袋のカフェも、いつものカフェと変わらない。なんだか安心した。
面白いことに、このカフェは店内に直通のエスカレーターがある。
客がエスカレーターで上がってきて、そのまま廊下に並んで席を待つ。ちょっと珍しい光景だった。
しばらく観察し、ケーキセットを注文。
オペラというチョコレートケーキ。
テラテラとした輝きが、私の大好物だった。
まとめ
この日は、撮影と友人との時間を存分に楽しんだ一日だった。
白飛びの表現を試しながら、新しい撮影スタイルに挑戦し、池袋の賑わいの中で刺激を受ける。駅でのちょっとした発見や、ふと目についた風景もシャッターを切るきっかけになった。
美味しい蕎麦で空腹を満たし、目的地のダーツスタジアムでは友人と競い合い、最後には雰囲気の良いカフェで一息つく。
写真を撮ることが、ただの記録ではなく、その瞬間の感情や空気感まで残してくれるものだと改めて実感した一日だった。
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